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危険運転致死傷罪を認定して有罪

昨年(2017年)6月東名高速道路上であおり運転の末、停車中のワゴン車に大型トラックが追突して、ワゴン車乗車中の夫婦(被害者)が死亡した事故の裁判。

横浜地裁の判決は検察の求刑23年に対して懲役18年。

事故の概要は、被告(加害者)がパッシングや4回のあおり運転を繰り返した後ワゴン車の前に割り込み、高速道路の走行(追い越し)車線上に車を停車させる。

被告が車を降りてワゴン車内の夫婦を威嚇して詰め寄ってから数分後、大型トラックがワゴン車に追突してしまう。亡くなられた夫婦の他に子どもふたりも乗車中だったが奇跡的に受傷のみで助かっている。

この裁判が注目されているポイントは、走行中ではなく停車した後の事故にも「危険運転致死傷罪」が適用になるのか?という点だ。

2001年6月施行された危険運転致死罪は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」で規定されている罪。以下に裁判の争点になっている条文を抜粋。

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

有期懲役は1年以上20年以下。その他に数分間ではあるが高速道路上で監禁した監禁致死傷罪も含めて30年の求刑が可能であったが、23年の求刑としている。

第二条 四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

過失運転致死傷罪であれば7年以下の懲役なので、懲役18年の判決は危険運転致死罪が認められたことになるが、ワゴン車の前に割り込み停止させた行為そのものは危険運転とは認められなかった。

しかし割り込む前まで行っていたあおり(車の通行を妨害する目的)運転が、4人の死傷につながった(因果関係あり)と認定され、危険運転致死傷罪が適用された。数分間行った監禁致死傷罪も認められた。

重要な意味を持つ判決だと思う。被告人の弁護士は、あおり運転→割り込み(停止)→追突(事故)の停止行為は走行中でないので危険運転致死傷罪に適用されないと主張していたが、判決はあおり運転からの一連の流れ=死傷との因果関係がある→よって危険運転致死傷罪が適用されるとなったからだ。

新しい判例が生まれたことは意義がある。今後もこのような一連の流れが明確になれば危険運転致死傷罪が適用になるケースが増えると予想されるから。

辛すぎる事件だけれど、このような悲劇が減少するきっかけになってもらいたいね。

『危険運転致死傷罪を認定して有罪』2018.12.14

 

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