個性豊かなキャラクターたちの登場する絵本を通じて、学校で教えてくれるような大切なものとは趣がちょっと異なり、大切でないように思えるけれど人生においてかけがえのない宝物となり得る存在があるのだよと世界の子供たちに伝えたい。

子どもは大人が考えている以上に悩み苦しんでいるのかもしれない。辛さを誰にも言えず、殻に閉じこもりを自分を責めているかもしれない。心の中で助けてと叫んでいたとしても、どれほどの苦しみに耐えているのかは他人には理解できず、想像するしかないのだから現実は残酷だ。

それでもその苦しみを少しでも理解しようと懸命になってくれる人はきっと現れる。でなけりゃ世の中不公平すぎる。苦しんでいる子供たちに少しでも希望を与えることができるなら、苦しんでいる子どもたちを救う大人たちの気付きの切っ掛けになれるのなら。これがムサネットくんの絵本を制作しようとした動機。私自身が幼少期に辛い時期を過ごした経験が影響している。

ムサネットくんのまなざしがどこか寂し気で、心の中を見つめるような印象になっているのは、そんな理由からなんだね。

『ムサネットくんのまなざし』2018.11.07